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認知行動療法が向かない人ってどんな人?私の体験から分かったこと

こんにちは、Ericaです。

うつ病からの回復の道のりで、私にとって大きな支えとなったのが認知行動療法(CBT)でした。自分の思考のクセに気づき、それを少しずつ修正していくプロセスは、間違いなく私を生きやすくしてくれました。

でも、このパワフルなツールが、すべての人にとっての万能薬ではないことも、同時に感じています。「CBTを試したけれど、なんだかしっくりこなかった」「余計に苦しくなってしまった」という声を聞くことも少なくありません。

今回は、私の体験や周りの人の話から見えてきた、「認知行動療法が少し向いていないかもしれない人」の特徴と、もしあなたがそう感じた時にどう考えればいいか、というテーマでお話ししたいと思います。

1. すぐに「答え」が欲しいと思っている人

認知行動療法は、魔法の杖ではありません。カウンセラーや医師が「正解」を教えてくれるのではなく、あくまで自分自身の心と向き合い、思考のパターンを観察し、行動を少しずつ変えていく、地道な共同作業です。

そのため、「とにかくこの辛さを今すぐ消してほしい」「専門家が全部解決してくれるはず」という受け身の姿勢だと、CBTのプロセスは少し苦しいかもしれません。宿題(ホームワーク)が出されることも多く、日々の自己観察が求められるため、「面倒だ」「時間がない」と感じてしまうと、続けるのが難しくなります。

2. 自分の感情や思考と向き合う準備ができていない人

うつ病の症状が非常に重い時期や、心が疲れ果てている時は、自分の内面を深く見つめること自体が大きな負担になります。

CBTでは、自分がどんな時に、どんな風に考え、どんな気持ちになるかを客観的に分析します。それは時に、目をそらしてきた辛い感情や、自分でも認めたくなかった思考のクセと直面する作業でもあります。

心がまだその準備ができていない時に無理に進めようとすると、「やっぱり自分はダメだ」と自己否定を強めてしまう危険性も。まずは十分な休息を取り、心に少しでもエネルギーが戻ってくるのを待つことが大切な場合もあります。

3. 問題の根本原因が、過去の深い傷つき体験(トラウマ)にある人

もちろん、過去の出来事が現在の思考パターンに影響を与えていることをCBTで扱うこともあります。しかし、もし生きづらさの根本原因が、複雑なトラウマや愛着の問題に根ざしている場合、思考や行動といった「表層」へのアプローチだけでは、なかなか改善しないことがあります。

むしろ、無理に思考を変えようとすることで、本来癒されるべきだった感情に蓋をしてしまうことも。そのような場合は、トラウマに特化した心理療法(EMDRやソマティック・エクスペリエンシングなど)や、感情に焦点を当てたアプローチがより適切かもしれません。

私が感じた「CBTの壁」と、それを乗り越えた方法

私自身も、CBTを始めた当初は壁を感じていました。「頭では分かっているのに、心がついていかない」という感覚です。

長年染み付いた「自分は価値がない」という思考はあまりに強力で、それを「事実ではない」と論理的に書き換える作業は、まるで自分自身を否定しているようで苦しい時期がありました。

そんな時に助けになったのが、マインドフルネスでした。

CBTが思考を「変える」アプローチなら、マインドフルネスは思考を「ただ観察する」アプローチです。「ああ、今、自分は『価値がない』と思っているな」と、良い悪いを判断せずに、ただ気づく。その練習を重ねるうちに、思考と自分自身との間に少し距離が生まれ、CBTのワークにも冷静に取り組めるようになっていったのです。

おわりに - 合わないと感じたら、それは「新しい道」のサイン

もしあなたが認知行動療法を試して「合わない」と感じたとしても、自分を責める必要はまったくありません。それは、あなたがダメなのでも、CBTが間違っているのでもなく、ただ「今のあなたには、もっと合う別の道がある」というサインなのだと思います。

心の回復へのアプローチは、一つではありません。CBT、マインドフルネス、カウンセリング、薬物療法、あるいはただ休むこと。たくさんの選択肢の中から、今の自分に一番しっくりくるものを、焦らずに探していくことが何より大切です。

この記事が、あなたの「自分だけの道」を見つける、小さなきっかけになれば嬉しいです。