こんにちは、Ericaです。
「うちの子、もしかして発達障害かも…」
そう思って、インターネットで「発達障害 子供 チェックリスト」と検索した経験のある親御さんは、少なくないかもしれません。そして、当てはまる項目を見つけるたびに、胸がぎゅっと締め付けられるような不安な気持ちになったのではないでしょうか。
その気持ち、よく分かります。
私自身は親ではありませんが、30歳で発達障害の診断を受けた、かつて「特性のある子ども」だった当事者です。
もし、タイムマシンがあるのなら、子どもの頃の私の行動に頭を悩ませていたであろう母の隣に行って、そっと教えてあげたいことがたくさんあります。
今回は、そんな想いを込めて、チェックリストの項目の裏側で、子どもが一体どんな世界を感じているのか、私の記憶を頼りにお話ししてみたいと思います。
1. 「落ち着きがない」の裏側 - “わざと”じゃない、感覚の洪水
親の視点:「どうしてこの子は、じっとしていられないんだろう?食事中も、大事な話をしている時も、そわそわ、もじもじ…」
子どもの本音: あの頃の私にとって、世界は常に「音」と「光」と「情報」の洪水でした。
大人の会話、時計の秒針の音、窓の外を走る車の音、蛍光灯のチカチカする光、隣の人の服のタグが首に当たる感触…。それらすべてが、同じボリュームで一気に頭の中に流れ込んでくるような感覚です。
じっとしていると、その感覚の洪水に飲み込まれてしまいそうで、たまらなく不安になる。だから、貧乏ゆすりをしたり、指をいじったりして、絶えず体を動かすことで、どうにか自分の心のバランスを取ろうとしていました。
決して、話を無視したかったわけでも、ふざけていたわけでもないのです。それは、押し寄せる刺激の波から自分を守るための、必死のサバイバル術でした。
2. 「こだわりが強い」の裏側 - 不安な世界で生き抜くための「お守り」
親の視点:「いつも同じ服しか着たがらない」「保育園に行く道順が少しでも違うと、大声で泣き出す」「ミニカーは、絶対に色順に並べないと気が済まない…」
子どもの本音: 私にとって、世界は予測不能なことで溢れていました。次に何が起こるか分からない、という感覚は、常に私を不安にさせました。
そんな中で、「いつもと同じ道」「いつもと同じ服」「いつもと同じ並び順」といった「自分だけのルール」は、先の見えない真っ暗な道を照らしてくれる、たった一つの懐中電灯のようなものでした。
こだわりは、私を困らせるものではなく、不安な世界で私を守ってくれる大切なお守りだったのです。それを大人に「わがまま」「融通が利かない」と否定されてしまうのは、「君のお守りはもういらないよ」と言われるのと同じくらい、悲しくて心細いことでした。
3. 「人の気持ちが分からない」の裏側 - 見えている世界が、少しだけ違う
親の視点:「どうしてそんなに正直に言っちゃうの?」「お友達が泣いているのに、どうして知らんぷりなの?」
子どもの本音: 私には、「嬉しい」「悲しい」といった感情がなかったわけではありません。ただ、人が何を感じているのかを、「表情」や「声のトーン」「場の空気」といった曖昧な情報から読み取ることが、とても苦手でした。
みんなが笑っているから、「今は笑う場面なんだな」と後から理解する。先生が厳しい顔をしているから、「何か怒られることをしたのかもしれない」と推測する。そんな風に、いつも答え合わせをするように周りの状況を分析していました。
悪気なく友達を傷つけてしまって、後からその意味を知って、一人で泣いた夜もたくさんあります。それは共感性がないのではなく、ただ、みんなが見ている「当たり前」の景色が、私には少し違って見えていただけなのです。
おわりに - チェックリストは「答え」ではなく「地図」
もし、あなたがお子さんのことで悩んで、チェックリストを手に取ったのなら、それを「答え合わせ」の道具にしないでください。
それは、お子さんにレッテルを貼るためのものではありません。
これまであなたが理解できなかった、お子さんのユニークな世界の「見え方」や「感じ方」を知るための、一枚の「地図」なのだと思います。
「この子は、今こんな世界を旅しているのかもしれないな」
そうやって、少しだけ視点を変えてみることが、親子がお互いを深く理解し合う、素晴らしい冒険の始まりになるはずです。
この記事が、あなたのその冒険の、小さなコンパスになれたなら、これ以上嬉しいことはありません。